リビングひろしま2012年8月18日号(電子新聞)広島で約20万部発行の地域生活情報紙
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2012年8月18日(土)〈2〉 全身マヒを想定し、私はオムツをして一晩を過ごしてみました。蒸れて不快でしたが、それ以上に介助してもらうことへの気兼ねや恥ずかしさから、排せつを朝まで我慢。オムツに排尿してみようとトライしましたがどうしてもできません。 「せめて下(しも)の世話だけはなりたくない」とは、誰でもが思うもの。排せつの介助が必要になったとき、「トイレ大丈夫?」「ゆっくりでいいよ。声かけてね」と、視線に配慮しながら自然体での気遣いがどれほどうれしいことか…。 先回りや誘導して効率を優先させる時代に、一人一人の体調や気持ちに合わせて、〝傾聴〞や〝待つ〞ことを実践している介護職の皆さん。 この〝待つと傾聴〞、実は子育てにも通じるものがあります。ただし、伸びていく子どもに対し、老いが避けられない高齢者。その現実を飲みこんで、利用者さんのプライドを尊重しつつ、意欲を引き出す働き掛けを行っている介護職の方々に、人間力の大きさを感じました。 また、家族だけが介護の問題を抱えるのは困難な時代です。だからこそ、専門的な知識と経験を持つ介護職の方々に相談し、別の視点から解決の糸口を見つけることも、核家族化の時代には大切なことだと学びました。(編集長 植木栄壮) 福祉・介護の職場で働く人たちに感謝の気持ちを伝えようと、毎年「ありがとうメッセージ」を募集しています。過去に応募があった感謝のメッセージの一部を紹介します。 サービス利用者やその家族、一緒に働く仲間などからの感謝や応援メッセージを募集中(200字程度)。応募者の気持ちがこもった「メッセージ」に湯﨑知事の一言を添え、福祉・介護に従事者する方々へ郵送されます。また、企画の主旨に沿った象徴的なメッセージを選定し、11月11日の「介護の日」フェスタin広島で、知事が直接手渡されます。詳しくは、☎082(254)3415=(社福)広島県社会福祉協議会「介護の日」実行委員会事務局へ。介護の現場を体験してリビング編集部が介護の現場をルポ◆介護の現場は1日中忙しい。洗濯機を回し、部屋の掃除、病院への付き添い、食堂への誘導、服薬の世話、入浴介助など、目にする仕事内容以外にもまだあると思う。そんな中で自立して暮らせるのは、何時(いつ)でも介助の手が得られる安心感があるからだ。疲れや風邪で寝込んだときすぐ訪れ、熱はないか、気分はどうかと気配りは優しい。飾り気のない真面目な性格も大好きなAさんに、一杯ありがとうを届けたい。利用者から◆脳梗塞で長く入院。ある日先生から自宅での介護を勧められた。その時はついに見捨てられたと思い不安になったが、今は訪問看護師やPT(理学療法士)、ヘルパーさんに助けられ自由に生活できている。自分は失語症で指文字で気持ちを伝えているが、分かりづらいのに一生懸命理解しようとしてくれて〝ありがとう〟。 最後に妻へ、今さら面と向かって〝ありがとう〟も言えずに、すまんのう。いつも支えてくれて感謝しています。利用者から◆頑固でわがままな父と私の架け橋だったSさん。父が食べ物を口にしなくなった時、夜間に調子を崩した時、入院が必要になった時、「一人で何もかも大変でしょう」と何度も励ましていただきました。誰かに褒められたくて介護をしているわけではなかったけれど、家族の心のケアまでしてくださるあなたにどれだけ心が救われたことでしょう。くじけそうになる在宅介護の辛さを長い間分かち合っていただいたあなたに、心から家族の感謝をお伝えします。家族から◆私の母は娘の私でさえ誰か分からなくなっている認知症です。面会に行った際、職員の皆さんは誰一人母のことで大変ですなんて話されません。とても癒やされる笑顔で皆さん母に接してくださいます。ご迷惑をお掛けしますと私が言うと、反対に「お母さんが施設を明るくしてくださるんですよ」と言ってくださいました。ありがとうございます。その一言で私はとても救われました。家族から◆「今日は一番に入浴し、昼食は自分でスプーンを持ってしっかり食べて、奥さんに見てもらいたかったですよ」。担当の方の言葉がとてもうれしくて、思わず「お父さん、よかったね!」と肩を抱きしめました。たびたび面会させていただき、独り暮らしになった私にも声を掛けてくださるスタッフの皆様、ありがとうございます。夫の胃瘻(いろう)の手術も間近ですが、経口で食べる力が少しでも残るようにと祈る毎日です。これからもよろしくお願いいたします。家族からありがとうありがとうメッセージをメッセージを募集中募集中関節の拘縮(こうしゅく)や筋力の低下を防ぐための体操(左)。ベッドから車椅子への移動。ボディメカニクスを活用することで、介護者も利用者も安全で安楽な行動となります(右)嚥下(えんげ)性肺炎を起こす誤嚥に注意しながらの水分補給前向きな気持ちを引き出すような声掛けをしながらの歩行訓練1面の続きすべての人にとって介護が快護に介護付介護付有料有料老人ホーム老人ホームメリィハウス西風新都・八千代メリィハウス西風新都・八千代 大切な人、大切なもののために、頑張りすぎていませんか―。そうささやいて優しく抱きしめてくれるような入浴剤が、介護付有料老人ホーム「メリィハウス西風新都」「メリィハウス八千代」のスタッフとフィトセラピストの共同開発で完成しました。その名前は「慧明 HYE MYUNG(ヘミョン)」。パッケージには「compassion」(深い慈愛)の文字が。そこにはどんな思いが込められているでしょうか。開発に携わった一人、同ホーム統括ケア部長の山本房子さんにお話を聞きました。 フィトテラピーに基づき、「慧明」には多様なエキスがブレンドされています。最もこだわったのは、女性特有の冷えや自律神経のバランスを整えること。高麗人参(オタネニンジン)、鎮痛などの作用があるといわれるカンゾウ、婦人科系の働きにいいと考えられるトウキ、保湿や肌本来の働きを整えるとされるマグワ根…。漢方薬として服用される素材を厳選。 メリィハウスは温泉を引いている施設もあるので、温泉水と成分が〝けんか〞しないことも考慮。周辺地域の水質調査なども行いました。 また、オレンジ、ハッカ、ユーカリ、ラベンダー、ティートゥリーなど8種類の天然アロマオイルもブレンドされています。配合が異なるものを数種類用意し、山本さんをはじめとした女性スタッフで吟味。「香りは人によって好き嫌いがあり、特に女性は香りに敏感。体の状態によって感じ方も変わります。強すぎず、心地よくほのかに香る組み合わせを見つけるには、想像以上に時間が掛かりました」 老いによる衰えは、止められません。「大切なのは暮らしを改善すること。無理に治そう、治させようとするのは、介護される人もする人も苦しめることになりかねません」と山本さん。 「慧明」には介護される側だけでなく、する側への思いやりもこめられているとか。「介護に携わる人は、張り詰めた心で過ごしています。家庭では、特に女性が介護することが多いですね。女性は香りに安らぎを感じるもの。『慧明』を使った入浴介助で、介護する人・される人、両方が香りや湯で心を解きほぐしてもらえればうれしいです」 心も体も張り詰めて頑張り過ぎてしまう。それは介護する人だけでなく、現代を生きる女性に共通することです。「心と体を緩めることで、日々のつらいことが少しは楽になるはず。介護に携わらない人もぜひ使っていただきたいです」 〝目に見えない幸せ〞を大切にするメリィハウスだからこそ生まれた入浴剤「慧明」。込められた慈愛は、高齢者に限らず現代を生きるさまざまな人を癒やしていくのかもしれません。 山本さんは、長年看護師として大病院で勤務していました。さまざまな入院患者がいる中、高齢の患者さんの多くが、排便や睡眠に薬の力を借りていることが気にかかっていたそうです。「年齢とともに排せつの力が衰えるのはしょうがないことです。環境の変化やストレスなどさまざまな要因があり、ときには薬の力も必要。でも、食事や生活リズムを整え、自然のもので少しでもコントロールできないかと思ったんです」 その後介護に携わるようになり、そこでも便秘・不眠に加えて、足の冷えやそれによる腫れも問題であることを知った山本さん。「体を芯から温め、リラックスできないか」と思っていたところ、入居者のほとんどが入浴を楽しみにしていることに気付いたそうです。「湯船に漬かる入浴は、心身をリラックスさせる日本の良い習慣。短い入浴時間でも、それと同等の癒やしが感じられる、そんな入浴剤が作れないか…と考えました」 そんな中、山本さんたちが出会ったのが、フィトテラピー(植物療法)の専門家・森田敦子さんでした。自身も重いアレルギー症状を患った経験のある森田さん。本場フランスで学んだフィトテラピーを、美容や健康法だけでなく、介護の床ずれ、むくみ、排せつ臭などの改善策として取り入れることを提唱しています。それはまさに山本さんたちスタッフが求めていたものでした。 短時間でリラックスできること、乾燥してこわばりがちな高齢者の肌を潤すこと。デリケートな肌の高齢者から手術後の人、赤ちゃんまで使えるよう、肌に優しく、さらに認知症の人などが誤って飲んでも安全な素材を使う―。そんな〝理想の入浴剤〞を目指し、メリィハウスのスタッフと森田さんの共同開発が始まりました。植物療法との運命的な出合い理想の癒やしへ、始めの一歩山本統括ケア部長。数百人の入居者がいるメリィハウスでは、介護・看護・生活ケアから清掃まであらゆる部門のスタッフが、それぞれの視点で入居者を見守り、連携しています。「その人の状態や視察に慣れる段階を大切にし、サポートをしています」と山本さん。そんな真心や小さなことを見落とさない思いやりも、「慧明」の〝材料〟になっているようです 「慧明 HYE MYUNG」1包20ml、350円(税別)。介護付有料老人ホームメリィハウス西風新都(安佐南区大塚西3-2-9)、同八千代(安芸高田市八千代町勝田459)内の雑貨店で販売中。※雑貨店には一般の人も入れます。詳細は問い合わせを 「ルボア表参道ヒルズ店」でも販売されます介護される人、する人…張り詰めた心と体を助けたい現場の〝必要〞と〝思いやり〞から入浴剤が誕生子どもから高齢者まで、心を温め癒やす入浴剤「慧明 HYE MYUNG」開発秘話「頑張り過ぎないで」介護する人「頑張り過ぎないで」介護する人、、される人に…される人に…漢漢方・アロマ方・アロマエッセンス配合の入浴剤エッセンス配合の入浴剤を開発を開発入居者とスタッフの間には、いつも温かなコミュニケーションがありますフランスの植物療法に密着している、 韓方(韓国漢方)の考え方などを紹介。日本での植物療法の取り組みを、女性が楽しく学べるパネルディスカッションです。桐島洋子さん、森田敦子さんが来場●日時/9月2日(日)14:00開演(90~120分予定)●会場/オリエンタルホテル広島(中区田中町) ●主催/メリィハウス●定員/150人※定員を超える場合は抽選(当選者には案内状を送付)●締め切り/8月24日(金)●パネリスト/ベランジェール=アルナールさん(パリ13医学大学教授、産婦人科医)、桐島洋子さん(作家)、森田敦子さん(植物療法士、㈱サンルイ・インターナッショナル代表取締役)、姜慧さん(医療法人社団 八千代会 八千代病院副理事長)●申し込み/ 0800-888-6508(担当/メリィハウス八千代/田川さん)FAX0826(52)7733 ryuji_hirakami@yachiyokai.com(担当/平上さん)※個人情報は、講演会の案内状やメリィハウスからのお知らせの送付に利用講演会「植物と女性」介護付有料老人ホーム メリィハウス販売・講演の問い合わせ「慧明」を使った足浴は、香りと温もりに包まれる大切な時間桐島洋子さん森田敦子さん0120-652-753(西風新都)0800-888-6508(八千代)

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