リビングひろしま2012年8月18日号(電子新聞)広島で約20万部発行の地域生活情報紙
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〈9〉2012年8月18日(土)〝自分らしさ〟を紡ごう55歳からの生き方 指南書 核家族化が進み、ますます介護や家事代行などの必要性が高まる中、今注目されているのが「遺品整理」をプロに頼むということです。 誰が亡くなっても、生前使われていたものの大半は不要となります。残された家族がその整理をしなくてはならないのですが、モノにあふれた今、たくさんの遺品の片付けに、膨大な時間がかかったり、大事なものが見つけられずに困っている方が多いようです。また、個人の価値観の多様化が進む中、家族には〝無駄なもの〞と思うものの中に、意外に価値のあるものが埋もれていることもあります。 最近の遺品整理業は、ハウスクリーニング事業者が、古物商や廃棄物処理業と兼業・連携している場合が多いようです。残されたモノを客観的に見て、捨てるべきものは廃棄し、思い出や金銭的な価値のあるものについては、選別した後きれいに掃除までしてくれます。プロに任せることで、家族にとっては本来のお別れがゆっくりとできますし、亡くなった方にとっても、持ち物の全てを家族に見られたくないかもしれません。 依頼人の希望によっては、立会い整理かお任せ整理を選ぶことができます。気になる価格は、廃棄のみだと2tトラック1台分で3万円程度から。きちんと見積もりを出し、事前説明に十分時間をかける業者を選ぶことが大切です。 山崎 當田さんは、シニア世代の心の悩み相談をされていますが、一番多い相談事は何ですか。 當田 「何をしたらよいか分からない」など、これからの〝生き方〞についてです。寿命を全うするまでには膨大な時間があります。仕事からの解放は〝自由人〞になった証しですが、この〝自由〞に戸惑われる方が多いようです。子育てや介護などから解放された女性も同様です。さらに、40、50代でも、定年後の生き方について相談に訪れる方が増えています。 山崎 夫婦で一緒に相談に来られるケースも多いと聞きますが…。 當田 夫婦が、それぞれの生きがいを感じてできることを考えましょう。〝自分らしくやれること〞がキーワードです。最初はなかなか思いつかないようですが、話しているうち、徐々にやりたいことに気付かれます。 山崎 夫を心配して、相談に訪れる方も多いようですね。 當田 もう一度〝社会人〞として、生き生きした夫の姿を見たいと妻たちは思っています。そのためには、どうやって夫を家から出すかがポイント。強制はできないので自主性を促すしかなく、本当に難しい問題です。本人が相談に訪れれば、問題は70%が解決したようなもの。動き始めることで、後はどんどん開けていきます。元気な心を維持するための5つの処方箋 山崎 心を元気にするには、どのような心掛けが必要でしょうか。 當田 それには5つのことを心掛けましょう。①老いと幸せを考える 病むところがあっても、気持ちを和やかにし、心を安らかにすることはできます。毎日を楽しく、明るく実感できることが〝健康な状態〞と考えます。老化で失うことを憂うより、年をとってもまだまだ未開拓な能力が潜在することを信じ、大いに使いましょう。②死を考える 必ず訪れる死について考えることは、「今をどう生きるか」と同意語。死生観を定めることで、これからの生き方が変わってきます。③ライフワークを考える 自分に合った活動を見つけるには、「自分にとって楽しいこと」がキーワードです。その感動から、さらに喜びや感謝へと昇華されていきます。必ず納得できる活動に出合えます。諦めずに考え続けてください。④「自分とは…」を考える 独りで趣味の世界を極めることも、仲間とのつながりで楽しみを得ることも、地域活動で生きがいを感じることもいいでしょう。多少でも自分の存在感を示し、対等な人間関係の中で主体的に行動すれば、自分らしく生きることできます。⑤夫婦を考える 永六輔さんは、夫婦になるには「20代は愛で結ばれ、30代は努力して、40代は我慢して、50代は諦めの心境で、そして60代以降は感謝し合って、真の夫婦になっていく」と語られています。「ありがとう、あなたのおかげだ」と思っていても、なかなか口に出せないもの。和やかな家庭、寄り添い合う夫婦の関係も、「心の安らぎ」には欠かせない、とても大切なことです。(文/健康デザイン研究所代表 山崎勇三)はしもと行政書士事務所 橋本 明子(行政書士・消費生活アドバイザー) 自分なりの新しい価値観を持つアクティブシニア。元気で自立した新しい世代として、注目されています。生き生きと活動するには、健康が第一で、それは「心の健康」にあります。そこで、アクティブシニア号のナビゲーター・山崎勇三さん(健康デザイン研究所代表)が、「こころの悩み相談」を行っている當田英明さんに、シニア世代への心の健康について話をうかがいました。 終末を考える【第5回】プライベートなことだから遺品整理をプロに頼むプロフィル/當田 英明(とうだ ひであき)さん退職後、大学院で心理学を学び直し、中央労働災害防止協会認定の心理相談員、日本レクリエーション協会公認の余暇開発士や余暇生活相談員として、働く人たちのメンタルヘルス相談や、退職後の生活相談などに関わっていますうきうきする感動こそが健康な心のバロメーター地域活動が生きがいに▼平舞台に常設の高舞台 いよいよ本社へ着きました。国宝の平舞台の上に立つのが、やはり国宝の高舞台で、ここで舞楽の舞が行われます。この高舞台は、創建当初は組み立て式でしたが、いつのころからか常設となりました。 高舞台の漆塗りの高欄(手すり)の上には、8カ所の宝珠(擬宝珠=ぎぼし)がついています。よく見ると、その中で二つだけが特に古く、本社祓殿(はらいでん)に近い方の両端の2つがそうです。銘文には、これを造らせた棚守房顕(たなもりふさあき)の名前と年代が彫ってあります。棚守家は今でいう宮司のことで、平清盛のころの神主であった佐伯景弘の子孫であり、現在の野坂宮司の祖先にあたります。▼清盛が根付かせた舞楽 厳島神社周辺では、年に11回ほど舞楽が奏でられるのですが、そのうち9回までが、この高舞台で行われます。ただし、雨が降った時だけは、屋根のある祓殿で行われます。そのときには、演奏も同じ場所で行うため、観客のすぐ近くで演奏と舞が行われて、それは感動的です。ちなみにあとの2回のうち1回は、対岸の地御前神社で行われる地御前神社祭と、もう1回は三翁神社祭(第30話参照)で行われる2曲ずつの舞です。 一番たくさん演奏されるのは、春の桃花祭(4月15日午後6時30分ごろから)、秋の菊花祭(10月15日午後6時30分ごろから)の11曲。夜、薄暗くなり始めたころから舞が始まり、高舞台の祓殿側の角にたかれる大きな2本のロウソクと、海側にたかれる2つの灯明にうっすらと映る舞。社殿の灯明にも火が入り、その薄明りも幻想的です。 そのほか、お正月には元日の歳旦祭、2日の二日祭、3日の元始祭。そして1月5日の日の出のころには、地久祭がスタートします。さらに5月18日に行われる推古天皇遙拝式(ようはいしき)と、管絃祭の少し前の旧暦6月5日に行われる市立祭(いちだてさい)での舞楽は、6曲の奏楽で午前中には終了します。(学習共同体河浜塾 河浜一也)河浜一也先生と行く36平清盛ゆかりの地/廿日市市宮島町(「リビングひろしま・com」で、記事内の場所を地図で表示)地面に見立てた平舞台海上社殿ならでは▲海上社殿らしく、地面に見立てた板敷きの広場が平舞台で、清盛のころには高欄が取り付けられた南回廊があったと言われています。その中央に高舞台があります▲本社祓殿は、床板が大きく隙間がありません 矢印に房顕の字が見えます▲ 手描き友禅の作家である中村穂湖さんが、染色の世界に入ったのは27歳の時。京都の出身とはいえ、家業が呉服に携わっていたわけでも、デザインや美術を志していたわけでもなかったとか。 「ただ手仕事や着物が好きだったから」と言う中村さんは、少し異色の入門者だったようです。 友禅の伝統や着物文化の奥深さを知るほどに魅了されていく日々。 「それまでは思い願うこともさまざまに移り変わっていましたが、弟子入りしてからは一筋に。〝早く一人前の友禅師になりたい〞とだけ考えるようになりました」。そう振り返る中村さんにとっては、まさに〝天職〞との出合いだったと言えるのでしょう。 7年の修行を経て独立した後の中村さんには、また新たな夢が。それは高級で手の届かないイメージの呉服の世界をもっと身近にしたいというものでした。「ブティックのように気軽に入れる店で、手頃な価格で着物を提供できたら。普通のOLさんがボーナスでブランドのバッグを買うように、着物をあつらえに来てもらいたい」 そんな夢に共感してくれたパートナーとの出会いもあり、夫の故郷である広島に念願の「きものアトリエずいこ」を開店。手描き友禅ならではの自在さを生かした、オリジナル着物のオーダーが好評。「父の趣味の日本画を留袖の図案に」「一番好きなフリージアの花の着物を」などの要望に応えています。 また地域に根ざした中区立町の店舗では、着物だけでなく小物の販売や教室なども開催。 「これからもお客さま一人一人の思いを着物を通して表現しながら、広島ならではの友禅を確立していけたら」と次の目標を語ってくれました。(リポーター・吉本智子)vol.132伝統の京友禅の美しさを身近な暮らしの中の楽しみに手描き友禅作家中村穂湖(ずいこ)さん【プロフィル】 中村穂湖さん(49歳)。京都市生まれ。演劇を志し上京するが、27歳の時、京都に戻り、友禅師・国分直敏さんに師事。1997年独立。2002年京都友禅組合大会理事長賞受賞。2009年結婚を機に広島に移住し「ずいこ」を開店【中村さんのある1日】6:00 8:0011:0019:0021:0024:00起床アトリエへ移動し制作 自宅に戻り朝食、身支度開店接客、各種手配など閉店 買物、料理、夕食 家事、フェイスブックなど就寝フルオーダー着物は仕立て上がりまで小紋で12万円~。オリジナル小物も多数きものアトリエずいこhttp://www.zuiko.jp/

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