リビングひろしま2012年12月1日号(電子新聞)広島で約20万部発行の地域生活情報紙
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〈5〉2012年12月1日(土)電力と経済、私たちの暮らしとの関係は? 教えて! 森永卓郎さん “日本のエネルギー”は今、どうなっているの?暮らしにはどんな影響があるのでしょうか この夏、エネルギー政策についてさまざまな議論がありました。政府は「2030年代に原発稼働ゼロを目指す」と言っていましたが、今、日本のエネルギー事情はどうなっているのでしょう。また、私たちの生活への影響は?気になるエネルギーと私たちの暮らしについて、経済アナリストの森永卓郎さんに、読者の濱田信子さんと島崎真実さんが質問。その様子を2回に分けてお届けします。※本文中は敬称略島崎 夏が乗り切れたのだから原子力発電ゼロでもなんとかなるのでは?森永 原子力発電を動かさずに、火力発電だけでずっとまかなうのは不可能ではないとは思いますが、当然大きなコストと、供給面でのリスクが伴います。今年はなぜ大丈夫だったかというと、節電もあるけれど、中東で戦争が起こらなかったからとも言えます。例えば今年、ホルムズ海峡閉鎖なんてことが起こっていたら、100%アウトだったと思います。だから今年が乗り切れたといっても、来年も再来年も大丈夫ということにはならないと思います。濱田 そうなんですね。森永 もっと怖いのは突然電気がこなくなること。みなさん電気は自動的にくるものだと思っているけれど、例えば原油に依存して発電していて、それが供給途絶になったらどうするのか。リスクを減らすためには、発電方法は分散したほうがいいと思います。島崎 もっと節電はできると思うのですが。森永 でも、暑い夏に1日中エアコンをつけないで、熱中症で倒れる寸前とかね、そういう世の中はどうなんでしょうか。濱田 昨年、東京で計画停電があったときには、信号機が止まったりして。ああいうのはいやです。森永 お年寄りには下りのエスカレーターが必要なのに、止まりましたよね。弱い人にしわ寄せがいっちゃう。それが本当にいいことなのか。駅の照明は安全に通行できるように設計されているのに、それを止めていいとはならないと思います。島崎 私、まだ節電を頑張っていますよ。森永 電気のムダ使いがいいとは思わないし、節電のためにLEDの電球に替えるとかね、そういうのはいいと思うけれど、歯を食いしばってガマンするのはちょっと違うのでは? 電力不足は家庭はもちろんですが、産業界にとっては本当に深刻な問題で、生活にも大きく影響するんです。(次回発行号に続く)取材協力/電気事業連合会http://www.fepc.or.jp左から森永卓郎さん、島崎真実さん、濱田信子さん原子力発電の割合についての話はその後どうなっているの?電気代が今後もっと上がるのか気になります島崎 今後、電気代はどうなりますか? 森永 上がると思います。今、日本は火力発電に依存している状態ですが、化石燃料には数量リスクと価格リスクの2つのリスクがあります。石油は中東からの輸入に8割以上依存しています。天然ガスにしても、中東、インドネシアなどに2割くらいずつ依存しているので、どこかで戦争や政変が起こったら、日本には入ってこなくなります。さらに厳しいのは価格リスクで、原油価格は以前、1年半で約3倍になったこともあります。燃料費が上がればもろに電気代に影響するという、すごくあやうい状況だと思いますよ。濱田 電気代を上げない方法はないのですか?夏が乗り切れたのだから「原発稼働ゼロ」でも大丈夫では?1957年7月12日東京都生まれ。日本専売公社、日本経済研究センター、経済企画庁総合計画局、UFJ総合研究所、三菱UFJリサーチ&コンサルティングなどを経て、現在は経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。テレビ朝日「ニュースステーション」などのレギュラーコメンテーターを務め、現在はTBS「がっちりマンデー!!」、ytv「情報ライブ ミヤネ屋」など多数のメディアに出演中。「年収300万円時代を生き抜く経済学」「森永卓郎式ニュースの読み方」など著書多数経済アナリスト森永卓郎さん太陽光発電などを普及させることも大事では?濱田信子さん(48歳)節電をもっと意識すれば電力使用量はもっともっと抑えられるのでは? 原子力発電ゼロの場合、家庭の電気料金は?島崎真実さん(42歳)電力がまかなえるならゼロにするのが理想だと思いますが、実際はどうなのでしょう●主な電源の発電コスト(2030年モデルプラント)濱田 今後、原子力発電の割合を何%にするかということが夏ごろにニュースになりましたが、今はどうなっていますか?森永 発電電力量に占める原子力の割合を、ゼロ・15%・20〜25%との3つの選択肢から決めようということで、政府は「2030年代に原発稼働ゼロを目指す」としました。ただ、その後がよく分からないんですよ。「再生可能エネルギーの比率を高めていきましょう」との合意は得られていますが、はっきりしていないのが現状だと思います。島崎 「原子力発電ゼロ」は可能なことなのでしょうか。森永 すぐにできるかというと、原子力発電ゼロだと電力が不足してしまう、再生可能エネルギーは簡単に増やせない、などの問題があると思います。今夏の議論の前提では、原子力発電の比率がゼロでも25%でも、再生可能エネルギーの比率を30%前後にする、というのは変わりません。現在の比率は10%。それを30%にするわけ。今の再生可能エネルギーの9%近くは水力ですが、簡単には増やせません。となると、太陽光や風力、地熱などで20倍くらいにしないといけないんです。濱田 そんなに?森永 具体的な案では、例えば太陽光発電は今90万戸くらいについているのですが、それを1000万戸にする、と。マンションなど上に屋根のないものもありますから、1000万戸というのはつけられるところには全部つけましょう、という案です。風力発電も、東京都の面積の1・6倍の広さに立てることになりますが、それがどれだけ大変なことか。本気を出しても相当時間がかかるのは目に見えていますよね。それが、2030年代末までに達成できるのかが問題です。森永 原子力発電のコストに占める燃料費の割合は低いのですが、火力発電の場合はコストの大半が燃料費(グラフ参照)。現在は、原子力発電の代わりとして火力発電で電力をまかなっているため、燃料費の差がそのまま大幅なコスト増加につながってしまいます。試算では、今年度だけで約3・2兆円も燃料費が増加する見通しになっているのです。さらに、今年7月から「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」がスタートしています。太陽光発電などの再生可能エネルギーで発電した電力は、電力会社が買い取ることになりましたが、買い取った分は電気の使用量に応じてユーザーが負担することになります。原子力発電や火力発電で作る電力は、1kWhあたりの発電コストが10円くらいですが、太陽光発電だと42円で買い取る。約4倍です。だから今後再エネが普及して買取額が増えれば、その分負担が増えていくわけ。エネルギー・環境会議 コスト等検証委員会報告書(平成23年12月19日)および討論型世論調査討論資料に基づき制作News勉強室ミセスのvol.1最新美容に迫る「女性の相談室」頑張った自分へのご褒美に、冬の美容情報城本クリニック広島院の棒谷智之院長に聞くvol.61 この一年、頑張った自分に特別なプレゼントを贈りませんか。物もいいけれど、鏡を見るたび笑顔になれる〝美容〞もうれしいもの。ほうれい線や顔のたるみ、一重まぶた…、そんな悩みを解消して新たな気持ちで新年をスタートしたい―。そこで、メスを入れずに短期間でできる最新の美容法について、城本クリニック広島院の棒谷智之院長に聞きました。 Q 重たい印象の一重まぶたを憧れの二重にしたい。でもテープによるかぶれや、まぶたを切るのは避けたいのですが。 A まぶたを切らずに簡単に二重にするなら、「二重埋没法」がお薦めです。腫れも少なく、自然な二重にできます。簡単な手術ですが、かなりイメージを変えることができ、テープによるかぶれなどの副作用も防げます。埋没法にもいろいろな方法があります。まずは専門医へご相談を。コンプレックスの一重まぶたに、さようなら施術3カ月後メイク後施術前【二重埋没法】■切らずに簡単に二重にできます■治療時間はわずか10~15分■その日のうちに洗顔もOK城本クリニック広島院棒谷智之 院長 Q たるみが気になるのですが、切ると傷痕が心配です。顔にメスを入れずに治療する方法はありませんか。 A 現在は、医療機器や治療方法の進歩により、切らずに人知れずたるみを解消できる方法が登場しています。「ウルセラシステム」「サーマクールCPT」「PRP治療」などが代表的です。たるみの程度や具合によってこうした治療を使い分け、場合によっては複数を組み合わせることで改善できます。 Q 「ウルセラシステム」「サーマクールCPT」「PRP治療」の違いを教えてください。 A ウルセラシステムは、美容機器を使ったたるみ取り治療の中で、現在最も強力だと考えられています。虫眼鏡で太陽光を集めると焦点の合った部分が焼けます。これに似たイメージで、超音波を利用して皮膚の奥深くに焦点を合わせ、その部分をピンポイントで焼く治療です。冷やしながら照射を行うことで、照射時の不快感も心配ない程度になっています。 サーマクールは、高周波で皮膚を温めて縮める方法。これに振動する装置をプラスして、照射時の不快感を少なくしたものがサーマクールCPTです。ウルセラシステムが登場するまでは、これが最も強力な治療と考えられていました。美肌効果や小顔効果を併せ持つのが特長です。 PRP治療は、自分の血液から採取した血小板や白血球を利用する方法。目の下のたるみやくぼみ、しわ、深いほうれい線やゴルゴライン、マリオネットラインを一度の治療で長期的に改善できるのがメリットです。ほうれい線や目の下のたるみ、短期間で解消新しいPRP治療(ニューリバイブジータ)は、効果が高く、一度に多くの部位が治療できます。写真左が施術前、右が施術後【ウルセラシステムの流れ】①カウンセリングでたるみの程度をチェック②冷やしながら超音波を照射することで、不快感も心配ない程度に③治療は1時間程度、すぐにメイクをして帰れるのも安心

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