リビングひろしま2014年4月5日号(電子新聞)広島で約20万部発行の地域生活情報紙
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〈7〉2014年4月5日(土)2013年7月のアメリカオクラホマ州で起こった巨大竜巻後の様子(上)。多くの家が無残に崩れ落ち、病院やボウリング場など軽量鉄骨の建物がグニャグニャに。右写真は、オクラホマで取材をする児玉さん山口県萩市で豪雨による土砂災害が起こりました(2013年)。土砂は多くのものを巻き込みながら流れていき、住宅を根こそぎ押し流してしまいます一般社団法人 防災住宅研究所 編集先日の広島での地震は、東日本大震災から3年を迎えた直後だけに、あの津波の映像が思い出されました。児玉さん(以下児玉)東日本大震災発生から約2週間後に被災地を訪れました。そこで目にしたのは、見渡す限りのがれき。その光景は、まさに言葉が出ず、ぼうぜんとするような状況でした。しかし、もし南海トラフ巨大地震が起きたら、建物などのがれきや津波で運ばれる土砂は、最大約3億4900万tと環境省が発表しました。東日本大震災の約11倍に相当します。その中にはもちろん、ここ広島も含まれています。あの津波の光景は、他人事ではないのです。 編集最近、日本各地で地震が多発しているようですが…。児玉今、日本は地震の活動期に入っていると言われています。阪神淡路大震災以後、地震が多くなっており、「地震が少ない」と思われてきた広島も例外ではありません。南海トラフ巨大地震が今後30年間に起きる確率を、地震調査委員会は70〜80%と予測しています。その際、広島県での死者数は約1・5万人とも。その他にも、広島には己斐や五日市に大きな断層があり、これが動くと阪神淡路大震災クラスの地震が起こる可能性もあります。東海地震の地震判定会の元会長から、5000年〜1万年に1回動く断層があり、全国にはまだ見つかっていないものもある…という話を聞いたことがあります。断層がないからといって安心できないと。いつ巨大地震が起こってもおかしくないということ。「いつか来るかもしれない」ではなく、「必ず来る」のです。―日本は地震の活動期に入っているいつどこで起こってもおかしくない※一般社団法人防災住宅研究所では、災害や住宅に関する個別相談にも乗ってくれます。FAXまたはメールで問い合わせを。 編集地震に限らず、ここ数年、台風や豪雨、竜巻などの被害が相次いでいます。児玉年々災害は強大化していくような兆候を見せています。台風はもちろん、日本国内で年間10〜40個の竜巻が発生しており、良いことではありませんが、身近な存在になっています。編集これまでさまざまな被災地を訪れているそうですが。児玉昨年だけでも、6月にアメリカで起こった巨大竜巻、7月に山口県萩市で起こった土砂災害、9月に埼玉県越谷市で発生した竜巻災害、10月に伊豆大島で起きた土砂災害と、4度も災害現場に足を運んできました。その際、いつも思うことは、あまりにも〝災害に弱い住宅〞が多いということです。阪神淡路大震災では、地震発生からわずか15分で死亡者の92%の方が亡くなっています。住宅の倒壊による圧死が多く、命を守るべき家が逆に住む人の命を奪っているのです。日本の技術力を持ってすれば、強い住宅を作ることは可能。今「あらゆる災害に全勝できる強い家」が求められています。―日本は災害多発国なのに災害に弱い家が多い 編集災害に強い家とは?児玉数万棟にも及ぶ被災した住宅を目の当たりにしてきました。木造住宅は震度5強くらい、軽量鉄骨などの住宅は震度6強で壊れる可能性があります。竜巻により家の基礎からひっくり返っていたり、地震で跡形もなく崩れ落ちていたりと、原型をとどめない家がほとんどの中、構造躯体がしっかりと残った家がありました。コンクリートパネル系の住宅で、WPC工法で建てられたものでした。東日本大震災でも、津波で多くの家が流される中、大半のWPC住宅は崩壊した家々を受け止めて流されなかっただけでなく、構造躯体がびくともしていませんでした。あるWPC住宅のお宅は、内部をリフォームし、今も同じ場所で生活されています。 編集災害に強い家が財産を守ったということですね。児玉そうです。災害は避けることができません。しかし、〝強い家〞があれば、自分が被災者になる確率を減らすことはできます。家に居ることが多い女性は、自宅で被災する可能性が高いはずです。デザイン性や居住性も大切かもしれませんが、もっと大切なのは、「命を守り、生活を守る」ことです。絶対に家が凶器になってはいけないんです。最後に、阪神淡路大震災や東日本大震災などの被災地を見てきた中で、これだけは申し上げておきたい。もう災害でがれきになるような住宅は絶対に造ってはいけない、大切な家族の命を守れるのはがれきにならない住宅だということです。震災以降、時代は変わったのです。「うちの住宅は強いですよ」という営業マンの言葉だけを信用するのではなく、「災害に保証は付いていますか」と聞いてみてください。本当に強い家であるか、家族を守れる家であるかどうかを見極める基準になります。―コンクリートパネル系の住宅は津波にも耐えた災害は避けられないが、被災者になる確率は減らせるのではいずれも防災住宅研究所刊。希望者は、住所(〒)、氏名、い年齢、電話番号を書いて、はがき、FAX、Eメールのいず年れかで防災住宅研究所へ直接応募を。はがきは、〒160-0004東京都新宿区四谷4-22-17-405 一般社団法人防災住宅研究所「リビング・本プレゼント」係へ。☎03(5367)3364FAX03(5367)3368e-mail/kodama@bousai-jyutaku.jp※個人情報はプレゼントの送付にのみ利用両両親が建てた家が、大雨で地盤が緩み、家が傾いたため、わずか10年で手放すことになり、さらに引っ越した先が火事で全焼するなど、〝住宅〟に対する苦い経験を持つ児玉さん。映像ディレクターとして災害現場を取取材する中で、日本の住宅の弱さを痛感し、〝住宅と災災害〟について調査・研究する同研究所を立ち上げました。出版やセミナーなどを通して「命を守る住宅」のした。出版やセミナーなどを通して「命を守る住宅」の必要性要性を訴えています※WPCとは、工場で作ったPCパネルを現場で箱型にとは、工場で作ったPCパネルを現場で組み合わせる工法(wall=壁式、precast=あらかじめる工法(wall=壁式、precast=つくる、concrete=コンクリートの略)コンクリートの略2011年3月11日に発生した東日本大震災後の様子。その衝撃的な映像は、今も多くの人の心に残っています2013年9月には、埼玉県越谷市で竜巻が発生。一瞬のうちに多くの住宅が壊されてしまいました2冊セットで先着10人にプレゼント命と財産を守るために〝災害に強い家〟を選んで ガタガタガタガタガタッ! 突然の激しい揺れに目を覚まし、恐怖に震えた3月14日。午前2時ごろに愛媛県で発生した地震は、広島県内でも震度5弱を観測しました。そのとき、あなたはどんな行動を取りましたか。何もできず、ただただ揺れがおさまるのをジッと待ちながら、もし家が倒壊したら…と、恐怖を覚えた人も多いのでは。そこで、災害と住宅について、調査・研究に携わる防災住宅研究所所長の児玉猛治さんに聞きました。児玉 猛治んさん災害の現状をつぶさに映し出した出した「住宅と災害」(A4版、600円)命を守る家づくりが詳しく分かる「日本を守る家」(B6版、1,470円)一般般社団法人防災防災住宅研究所所長

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