リビングひろしま2014年9月20日号(電子新聞)広島で約20万部発行の地域生活情報紙
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2014年9月20日(土)〈14〉34甥姪孫曽祖父母祖父母直系尊属兄弟姉妹内縁の妻養子の親配偶者相続する権利を取得する者=◎   その可能性がある者=△父母被相続人◎◎◎◎◎△△△△△△婚外子養子実子実子第2順位第1順位第3順位「ここ10年で、5000万円以下の遺産分割でのトラブルがどんどん増えています」とは、7月に行われた相続税セミナー&相談会を企画した、広島司法書士会の桒原地朗さん。遺産額の多い少ないに関係なく、相続にはトラブルがつきもので、数十万円の預金すら争いになるそうです。相続で相談件数が多い内容として、①遺産分割(誰がいくらもらえるか)、②借金の相続、③遺言書の書き方の3つに分類されます。下の囲みのような環境にある人は、特に相続トラブルを防ぐためにも事前に準備が必要だと注意を促します。民法では、相続人の相3続順位と相続分が定められています。注意点として、婚姻届のない内縁者の場合は配偶者と認められず、相続人になれません。一方、例えば内縁の妻との子どもは、父親の認知によって子としての相続の権利があります。また、子が先に死亡している場合は、その子(被相続人の孫)が相続人となります(代襲相続人)。なお、相続分は相続人全員の話し合い(遺産分割協議)により、自由に定めることができます。「相続をめぐるトラブルは、遺言書がなかったことが原因となる場合が多いです。将来のトラブルを未然に防ぐためにもぜひ書いておいてほしいですね」と桒原さん。遺言書があれば、遺産分割協議をしなくてすみ、相続手続きの負担が減り、故人の思いが相続人に伝わるというメリットがあります。なお遺言書には、下の囲みのように自筆証書遺言と公正証書遺言の大きく2つがあります。ただし、遺言があまりにも不公平で、残された者にとって納得できない場合は、遺留分(いりゅうぶん)という制度があります。遺言者の意思が尊重されつつ、相続人の立場にも配慮したことで、いわば遺言によっても奪われない相続分のこと。被相続人のきょうだいには遺留分がないなどの規定があるので注意してください。「相続は早めに対応することが肝心」と司法書士会ではアドバイス。遺産分割協議が整ったらそれで安心せず、遺産分割協議書を作成しましょう。特に、不動産については早めに相続登記を行うこと。登記をせずに放っておくと、権利関係が複雑になります。例えば相続人の一人が相続登記を行う前に亡くなった場合、その相続権のある関係者を再度集めてもう一度協議をしなければなりません。そうこうしているうちに、別の相続人が亡くなると、その相続権のある関係者を再度集めての協議が必要で、相続権のある人が次第に増えて、遺産分割協議が整わなくなります。また、故人の借金が膨大で相続放棄する場合も、原則として相続開始を知ってから3カ月以内に、被相続人が住んでいた地域を管轄する家庭裁判所に申し立てをしなければ、相続したとみなされてしまいます。その他にも、予期せぬ相続人が現れた、相続人が行方不明、相続人が相続権を失う「相続欠格」や「相続人の廃除」のこと、故人へ特別な貢献をした相続人へより多く認められる権利「寄与分」、生前の贈与である「特別受益者」への対応など、ケースによってさまざま。早めに法律の専門家に相談することが、相続を争族にしないための一歩です。相続の対象になる遺産は、土地や建物、預貯金など、プラスのものばかりではありません。相続開始を知ってから3カ月を過ぎると単純承認といって、故人の借金や債務までも一切を含めた遺産を引き継ぐことになります。そこで、親の残した借金に悩まないためには、いくつかの対処法があります(上の囲み)。また、身元保証など、もともと引き継がなくてもいい債務もあります。専門家に相談を。相続トラブルが多発中知らないと不幸を招く広島司法書士会に聞きました 【第1弾】来年1月から始まる相続税の増税。「うちには財産なんてないし…」「相続対策はまだ先のこと」と思っている人も、今回の改正で相続税がかかる人が今までの5割増しになるとか…。実は今、相続そのもののトラブルも増えています。今回は広島司法書士会に、法の観点から相続問題についてうかがいました。遺言書の作り方44誰にどれだけ権利があるの?33■ 第1順位相続人が配偶者と子どものケースでは、配偶者が全財産の1/2を、子ども全体で1/2を相続します(配偶者がいなければ、子どもたちで全遺産を相続)■ 第2順位被相続人に子どもがいないケースでは、配偶者が全財産の2/3を、直系尊属(被相続人の父母など)が全体で1/3を相続します(配偶者がいなければ、直系尊属が全遺産を相続)■ 第3順位被相続人に子どもや直系尊属がいないケースでは、配偶者が全財産の3/4を、被相続人のきょうだいが全体で1/4を相続します。きょうだいがすでに亡くなっている場合は、その子(被相続人の姪甥)が相続人となります(配偶者がいなければ、きょうだいで全遺産を相続)このたび取材に協力いただいた広島司法書士の皆さん(後列左から、広島司法書士会副会長の竹村秀博さん、刎本真一さん、前列左から桒原地朗さん、三浦真規子さん)家庭裁判所3カ月以内借 金遺 産152プラスとマイナスの相続22相続で争族に11ならないように11不動産を相続したら55まずは登記を55相続人から見た、トラブルになりやすいケース① 親の先妻や後妻に、自分たち以外のきょうだいがいる② 親に婚姻届のない内縁者がいる③ 親がいくつかの土地を持っている④ 親が保険金・預貯金・有価証券などを持っているが、そのことを一部の者しか把握していない①限定承認 仮に、遺産の総額が1億円で、借金が1億2000万円だった場合、限定承認をすれば、この2000万円分については責任を負わなくてもよい方法です。相続開始を知ってから3カ月以内に、被相続人が住んでいた地域を管轄する家庭裁判所に申し立てをします。ただし相続人全員の意思が一致していることです。②相続放棄 被相続人が、どうやっても返済できない額の借金を残して亡くなった場合、子は相続権そのものを放棄すること(相続放棄)ができます。相続開始を知ってから3カ月以内に、被相続人が住んでいた地域を管轄する家庭裁判所に申し立てをします。相続放棄が認められると、債権者は返済を請求できなくなります。ただし遺産分割協議で、相続放棄を申し出ただけでは法律上の相続放棄にはならないので注意を。遺言の種類 遺言書は1回作成すればそれで終わりではなく、状況や気持ちの変化で何度でも作り直すことができます。その場合、新しいものが有効となります。① 自筆証書遺言=遺言者が全文自筆し、日付・氏名を入れて押印することが必要。手軽に作成でき、遺言の内容を秘密にできる反面、偽造・変造・減失・隠匿・未発見のおそれがあります。遺言者の死後、家庭裁判所で検認手続きが必要です。② 公正証書遺言=証人2人以上の立ち会いのもとに公証人が作成します。偽造・変造・減失・隠匿のおそれがなく、内容は公証人が確認するため、無効になる心配がなく、公証人役場にも保管されるので、未発見の恐れがありません。家庭裁判所での検認手続きが不要ですが、公証人に対する費用が発生することと、遺言の内容を完全に秘密にすることができません。悔いを残さないために…今どきのお葬式は?葬祭ディレクターに聞きました時代とともに、葬儀のスタイルや考え方も変化しています。ニーズに合わせ、葬儀会社の対応もさまざま。葬祭ディレクターの吉村浩信さんに、今どきの葬祭事情を聞きしました。家族や近い親戚だけで行う家族葬。参列者の対応などに追われることなく、ゆっくりと故人を送れるのが特徴です。最近は家族葬専用ホールを備えている葬儀場も増えていますね。ニーズの背景には、長寿化があると考えられます。亡くなったときに高齢だと、本来友人・知人のほとんどが亡くなっていたり、存命であっても葬儀に出られないことが多いです。また、喪主も高齢である場合や、家族が離れて暮らしていたりすると、大掛かりな葬儀が難しいこともあります。そのため、こぢんまりとシンプルに執り行える家族葬が選ばれるようになってきたようです。1高齢化とともにニーズが高まる〝家族葬〞親戚が少ない、近所と交流がないなどの理由で、受け付けの係をする人がいない、というケースは少なくありません。そこで便利なのが代行業者。葬儀会社と提携し、別途料金を払えばスタッフを派遣してくれます。参列者の名前や香典の金額などを素早くリスト化してくれる業者も。また、弔辞の文章のアドバイスなど、忙しい喪主をサポートするサービスはさまざま。葬儀会社によって異なるので、相談してください。3受け付け代行、弔辞アドバイスなどのサポートも亡くなった人の体を入浴で清める湯灌(ゆかん)。広島では、もともとなじみのない習慣でした。2000年ごろから徐々にニーズが高まり、現在では葬儀をする人のうち3〜4割程度が湯灌を希望。湯灌では体を洗うだけでなく、男性はひげをあたり、女性は化粧を施すこともあります。「驚くほどきれいにしてもらえ、うれしかった」「生前、闘病のため入浴できずかわいそうだったので、すっきりさせてあげることができた」と喜ぶ遺族も多いです。4広島で増える湯灌遺族の心の安らぎにも金色の装飾を施した宮型霊柩(きゅう)車を見かけなくなりましたよね。最近は「しめやかに執り行いたい」「街中で目立ちたくない」と考える人が多く、装飾のない車が選ばれています。また、諸事情で宮型霊柩車が乗り入れできない地域もあるようです。2030年ごろまでには宮型霊柩車はまったく使われなくなるという説も。5最近見ないかも…街から霊柩車が消えた?宮型ではない、黒いバンやリムジン、ワゴンなどが主流に「自分好みのスタイルで送ってもらいたい」と、生演奏で送る〝音楽葬〞などの特殊な演出や、無宗教のお別れ会形式を希望する人が増えています。故人の意思をくみ取って希望通りにしてあげたいのは、遺族も葬儀会社も同じ。しかし、形式や演出によっては葬儀会社がすぐに対応できないことがあります。中途半端な演出だと、「もっとちゃんとしてあげたかった」と遺族に悔いが残るもの。最近は事前相談に力を入れている葬儀会社が多く、生前に具体的なプランを伝えて予約する人もいます。いざというとき準備がスムーズ。希望やどんな段取りをしたかを、エンディングノートなどに記しておくのもいいですね。2オリジナルの葬儀が増加生前の準備がポイントにいワ吉村浩信さん厚生労働省認定技能審査制度1級葬祭ディレクター、全葬連葬儀事前相談員 葬儀は人生の〝総仕上げ〟のようなものです。派手である必要も、無理をすることもありませんが、心からの「ありがとう、お疲れさまでした」を込め、悔いがないように執り行いたいものです。希望や疑問は、遠慮せず葬儀会社に相談しましょう。生前相談もタブー視されていません。人生を見つめ直すために、自分で計画を始めるのもいいですね。秋秋秋秋秋秋彼彼彼岸岸岸ににに思思思ううう…美日日々々、迷迷い迷い煩や煩や煩悩悩に悩に満ち満ち満ちた生た生た生活を活を活をおおおくっている私たち。人生の最期ぐらい、心穏心穏やかやかに旅に旅立ち立ちたいたいものもの愛。愛するする家家族の族のためためにもにも事、事前準前準備は備は必要必要ですです。

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