リビングひろしま2015年1月7日号(電子新聞)広島で約20万部発行の地域生活情報紙
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〈9〉新春号編集長開設10周年、おめでとうございます。開設当時から、〝おもてなしの心〞を大切にされていますね。ついのすみかとして当館に来られた方々が、明るく楽しく人生の最期を過ごしていただけるよう、ご入居者の気持ちに寄り添い、サポートしていくことを〝おもてなしの心〞という言葉で表しています。それは、介護制度が変わっても、変えてはいけない大事なことです。そうした理念を理解し、実践し、継続してくれるスタッフがいて、はじめて実現します。こうしたスタッフに支えられていることに感謝しています。編集長この10年間で人々の生活スタイルが変わったように、介護を取り巻く環境も大きく変化したのではないですか。朝食一つとっても10年前は食パンやロールパンでしたが、今は〝フレンチトーストやクロワッサンをカフェでいただく〞というスタイルです。また、世代の価値観も変わってきて、一日読書をしていたいと思う方もいれば、八丁堀に買い物に出掛けたいと思っている方もいます。こうしたご入居者のニーズを拾っていく、掘り起こしていくことも、私たちスタッフに求められています。編集長今後、入居者の多くが団塊世代です。この世代は、多様な価値観を持った方々が多いですから、〝ニーズを掘り起こす〞という考え方は、介護に携わる人たちのテーマになるでしょうね。どの施設でもそうですが、ご入居者の看取りが増えています。最期をどのように迎えたいのか、何をしたいのか、そのキーワードが〝生きがい〞だと思います。サポートする側からの押しつけではなく、スタッフとご入居者が一緒になって、生きがいを見つけていくことから、介護の内容が始まっていくのではないでしょうか。編集長生きがいを見つけ、それを継続するために、取り組まれたことを教えてください。メリィハウスは、ご自宅で過ごされているような環境をイメージして造られています。それは、友達に自慢できるものだったり、孫に遊びにおいでと気軽に言えるようなものだったり…。これは、創業者の父と母の考えでもありました。すでに10年前からこうした施設を作ろうと、いろいろと工夫を凝らしてきました(施設の紹介は下の写真)。編集長平成25年の内閣府の調査ですが、介護を受けたい場所について尋ねたところ、「自宅」が約4割。また最期を迎えたい場所については、半数以上が「自宅」という回答でした。こうした結果をどのようにお考えになりますか。家は家族が集まる所ですし、自分の気持ちが安らぐ場所でもあります。一方、施設というのは、集団生活ですし、社会と隔離されたイメージや、「入れられてしまった」という失望感を抱くと聞いたことがあります。だからこそ、メリィハウスでは、〝自慢したくなるような施設〞〝わが家のような施設〞にこだわりたいのです。編集長この施設の1階に、レストランやパン屋、雑貨店などの商業施設がありますね。あそこは一般の方が利用してもいいのですか。1階にいらっしゃるのは、一般の人ばっかりですよ。「パンとコーヒーの香りに幸せを感じる」と私の母がよく言っていましたが、そういう場所に人が集まるものです。また道路に面して商業施設をつくることで、地域の方がメリィハウスへお越しになるきっかけになると思っています。でも、10年前にこうした建設の申請を出したところ、すぐには許可がおりませんでした。当時は「お年寄りの施設にそこまでいるのか」という雰囲気に満ちていました。海外の事例を示しながら、行政を説得して実現しました。こうした、初めて尽くしの試みは、私たちの勝手な発想ではなくて、ご入居者の声でもあったのです。編集長内閣府から出された興味深い数字が、もう一つあります。若い世代との交流について尋ねたところ、約6割が参加したいと答え、10年前と比べて7・2ポイントもあがっています。やはり若い人が施設に来られると空気が変わるもので、高齢者にとって感性が動くから楽しいのだと思います。世代間交流は必要で、いろんな人が出入りして、孫も来て、それが自由にできるのがわが家のような所なのでしょうね。編集長メリィハウスでは、外部の方との交流が盛んですね。昨年の8月には、子ども会に声を掛けて映画会をやり、約40人の参加がありました。「初めて施設内に入った」という親子の中には、秋祭りにも来てくださった方も。また、小学校の学習の一環として「町探検」があり、子どもたちが施設を訪問してレポートを作成しました。介護セミナーや見学会なども行っていて、地域に開かれた施設を目指しています。編集長高齢者の生きがいづくりに、世代間交流が欠かせませんね。竹細工を作るのが上手な方、カラオケの先生やお茶の先生など、特技を生かして人の役に立つというのは、ものすごくうれしいものです。そうした生きがいづくりはご入居者の刺激となりますし、地域も含めて、この施設がその役割を担えればと考えています。編集長読者の多くは、高齢者の親がいます。認知症患者が500万人の時代を迎える中、在宅介護で家族に求められているのが、早期発見と早期受診。異変に気付いて受診するまでに9カ月半も掛かっているという調査結果があります。認知症は早期に発見できれば、治療効果が期待できます。介護の知識を持った私たちが近くにいるわけですから、何か異変があれば、ご家族に相談させていただいています。予防、維持、継続、看取り、このすべてをグループ内で連携して対応できることをメリィハウスの強みとしていきたいです。編集長今後、介護の姿は、どうなっていくでしょう。今までは、本人の意向というよりも家族の都合に合わせて〝預ける〞というものでした。これからは、「自分の老後は自分で決めたい」と主張する世代ですから、生きがいを達成するために、本人とスタッフが一緒になって、ケアプランをつくっていくことが、ますます求められていくことでしょう。人生の物語を一緒に紡いでいく介護へ施設長の施施施施施施施設設設設設設  さんに、高齢者と向き合ってきた10年間と、これからの介護について聞きましたれれかかと向向向しししししたたた入居者と子どもたちの交流も生まれます。今年早々には2回目の映画会を実施地域の人たちもたくさん参加して盛り上がった秋祭り(2014年9月撮影)●園芸療法士 岡田 典子さん「花や野菜作りなど、植物を通じて喜びや人との交流を図ります。五官が刺激され、心と身体が動き出します」●温泉プール担当スタッフ「水の浮力や抵抗の利用で、リラックス効果も運動効果も抜群です。車椅子利用の方もリフトを使って入れます」●低温(黄土)サウナ〈上〉●ラドン温泉〈下〉●介護士 牧野沙織さん「わが家のようにリラックスいただけるようお一人お一人に寄り添ったコミュニケーションを大切にしています」●母屋担当スタッフ「毎食、皆さまとご一緒にお楽しみいただけます。2種類のメニューを選んでいただける楽しさもプラスしています」●ボディケア担当スタッフ「リンパボディ&フェイシャルマッサージの施術をいたします。ご入居者の要望に合わせてお部屋での施術も可能です」●リハビリテーション部 主任(理学療法士) 吉田 恵利さん〝元気に、楽しく、笑顔で〟をモットーに、ご入居者の方の「自ら」を引き出せるような環境作りをお手伝いします」▲ベーカリー「メリィのパン屋」。焼きたてのパンの香りが漂います。併設するレストラン「めしませ」では、健康メニューも用意◀雑貨店「メリィ本舗」。暮らしを豊かに演出する小物や日用雑貨がそろいます【さんのプロフィル】1970年、山口県生まれ。父親が経営する医療法人社団八千代会八千代病院に入社し、現在の病院運営の礎をつくる。メリィハウスの開設では既成概念にとらわれない、安心と安全を兼ね備えた老人ホームづくりを実践。2009年から施設長(副理事長)に就任し、現在に至る メリィハウス西風新都では、施設全体を一つの街として捉え、1階を1番街、ダイニングを母屋、サービスステーションをよろず相談室など、街をつくるような感覚で施設がつくられています。「私たちがご入居者の皆さんをサポートしています」〒731-3167 広島市安佐南区大塚西3-2-9        ☎082-849-2750 ☎0120-652-753弊紙編集長が聞きましたスタッフは〝宝〟という  さん。理念とする「おもてなしの心」を全てのスタッフが心に刻み、実践しています〝生きがい〞探しから始まる介護世代間交流をめざした地域に〝開かれたドア〞づくり思わず自慢したくなるわが家のような施設へのこだわりメリィハウス リリリリリリリリリィィィィィィィ西風新都見学会の様子。〝老老介護〞〝遠距離介護〞など、待ったなしの疑問や質問に、スタッフが丁寧に答えます。あなたの悩みも相談してみませんか 焼きたてのパンをいただきながら、ゆったりとした気持ちで受講できる介護セミナーと施設見学会です。前半は、メリィハウス西風新都の相談員などが、施設と入居者の生活を紹介。後半は、同社業務部部長の小西正雄さんが、質疑応答の含めて、介護制度などを分かりやすく説明します。 当日のアンケートに答えると、併設する「レストランめしませ」のランチ券をプレゼント。詳しくは本紙1月17日号で掲載焼きたてパンとランチ券でおもてなし介護セミナー&施設見学会2月14日(土)・15日(日)実施「で居●「通 今年、開設10周年を迎える「メリィハウス西風新都」。介護施設の分野では、常に先端的なサービスを提供し西風てきました。リビング新聞社の編集長が、施設長の  さんに、変わりゆく介護業界の未来や、メリィハウスの役割などについて聞きました。メリィハウス西風新都 開設10周年 & 「リビングひろしま」創刊35周年 記念インタビュー

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