子育て親育ち リビングひろしま(電子新聞)広島で約20万部発行の地域生活情報紙
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子育て親育ち〈10〉『vol.9』(「リビングひろしま」2011年10月8日号16面掲載)森崎子どもの年齢で、比べてしまう内容が違うと思います。乳児期は、どんなことが気になって比べていましたか。猫田生まれたとき、他の子と比べて明らかに「大きいな〜」と思いました。思えばそこから、比べることが始まっていたような気がします。銅木うちの第一子を含め、親類の子ども3人が同時期に生まれ、しかもみんな男の子。生まれた瞬間から、「首がすわった」だの、「ハイハイができるようになった」だのと、いつも比較していましたね。森崎乳児期の比較は、主に発育のことになるのかな。一人目だったら特に、他の子と比べるというよりも育児書などの数字と比べる、ということが多いですよね。猫田区がやっている健康相談室に毎月行き、身長と体重を量ってもらい、一喜一憂していた時期もありました。発育曲線の中に収まっていてほしいなという気持ちがありましたね。森崎平均であってほしいと…。なんとなく、ぷくぷくしているのが赤ちゃんらしいというイメージがありますよね。銅木昔、自然な子育てについての育児書を読んで、憧れた時期もあったけど、私には無理って思える内容でした(笑)。あれを追求していたら、しんどかったかも。自分で向いてないと思ったら、路線変更するのも大事なんじゃないかな。森崎育児書というのはある意味、理想論が書いてあるのかなと思います。それを追求することで自分がすごく苦しいんだったら、無理に追求しなくてもいいよね。猫田私はその路線変更がなかなかできなかった。私にはできないな、向いてないなと思えるまで時間がかかりました。森崎そこは個人差があるよね。乳児期の悩みは、子どもの成長と共に必ず終わりが来るんだけど、その終わりの時期は人それぞれだし、その真っただ中にいる時に、そう言われてもとてもそうは思えないんだよね。森崎では、他の子と接する機会が増え、自我や個性が出てくる幼児期は、どんなことが気になって、子どもを比べてしまいますか。猫田うちの子は、引っ込み思案なタイプ。公園やオープンスペースなどへ連れて行ったとき、活発に遊び回る子が輝いて見え、うらやましかったですね。銅木うちは逆のタイプ。物おじしない分、他の子のおもちゃに手が出たりするので、そこが気になっていました。猫田気になり始めると、どうしてもできてない部分に目がいってしまいますね。森崎そんなときは、どうしていますか。猫田イライラした時もありましたが、結局うちの子は、こういう子なんだって思うことにしました。森崎子どもを変えようとするんじゃなくて、親の意識を変えることが大切なのかも。でもそれって、親の精神状態で難しい時もありそう(笑)。猫田子どもの性格って、一生続いてしまうような気がしたんですが、そうでもないのかも。長男はすごく引っ込み思案だったけど、成長するうちにだんだん活発になってきました。森崎「比べるな」と言われても多分ムリ。社会全体が比較しながら進歩してるじゃない。子育てだけ比べちゃダメよって言っても難しいと思います。むしろそのことで「じっとしていないからダメな子」とか、「引っ込み思案だからダメな子」って、否定をしないことが大事じゃないかな。銅木引っ込み思案も言い方を変えれば、慎重・繊細なんですよね。森崎幼児期は、集団生活への適応力や性格などについて、他の子と比べてしまうというものでした。それでは、親の期待度が上がる学童期については、どんなことで比べてしまいますか。銅木この時期は学力かな。先日も、同級生の作文が新聞に載っていて、すごく上手に書けていたので、「わあ、すごいね〜」ってうちの子に言ったら、「じゃけ何?」と不機嫌そう。私としては、比較するつもりはなく、「このぐらい書けたらいいね」って思っただけなんですが…。森崎学童期は子どもを叱ったり諭したりするとき、よその子どもやきょうだいとついつい比べてしまうことってあると思うんですね。そんなとき、どんな言い方をしていますか。銅木私は、まったく意識していないのですが、子どもからすると、比べられているような気がするらしいです。猫田私の友達の話ですが、そのお母さんがよく他の子と比べていたようで、本人はいたく傷ついていましたね。森崎謙遜もありますよね。自分の子をちょっと落とし、他の子を持ち上げるみたいな…。猫田外ではなかなか「うちの子、かわいくてできが良くて…」なんて言えないじゃないですか(笑)。でも、子どもってストレートに受け取っちゃうんですよね。森崎この時期、親の理想や願いも関係していると思います。小・中学生になれば、それだけ親の期待度も高くなりますから、つい、諭す意味で、比べることも…。森崎子どものころ親から比べられた記憶がありますか。猫田あまり比べられた記憶はないのですが、「弟はいいな〜」という気持ちはありました。 銅木私は三姉妹の真ん中でした。よく一つ上の姉と比べられていました。姉妹でありながらライバルのような関係だったかも。それを大人になって妹に話したら、妹は「私はお姉ちゃんたちと比べられていた」と。妹からすると複数だったんですね(笑)。森崎子どものときのことを考えると、比べることは良くないとは分かっているのですが、励ます意味で「○○ちゃん、頑張っとるね」って、言う場合もありますよね。猫田たとえ比較したとしても、たぶん深い意味はないんですよね。森崎比べることで奮起する子もいるだろうし、子どもの性格にもよりますね。でも、発育や体型など、頑張ってもどうにもできないことってあるじゃないですか。本人の努力ではどうにもならない比較は、無意味かも。基本的には、その子の持って生まれたものを大事にしようということにつながりますね。森崎比べてしまった後のフォローがあれば教えてください。猫田言いすぎちゃったなというときは、謝ることもありますが、基本的にはさらりと流してしまうことが多いです。銅木そうですよね。そこを掘り下げると、結局は傷がどんどん深くなっちゃいますからね。森崎このテーマで座談会をすると決まってからこんなことがありました。息子があまりにも字が汚いので「あんたこの字はどうしたん。○○ちゃんはきれいに書けてるのに…」って、つい嫌みを言ってしまいました。いけないと思って「比べてごめん」と謝りました。すると息子が「ちょっと嫌な気持ちがしたけど大丈夫」って、割と素直な返事。その反応に安心しましたが、やっぱり嫌な気持ちはしたんですね。「子育て親育ち」座談会 【乳幼児~小学生編】やっぱり比べちゃうよねそのとき、どうする?猫田久美子さん(34歳、安佐南区)。長男6歳(幼稚園年長)、次男3歳「生まれてきてくれてありがとう」と思っていたはずが、いつしか、きょうだいや同級生と比べてしまうことも。他人と比べて一喜一憂するよりも、わが子の良さに目を向けることが大切_とは分かっていても、なかなかできないものですよね。そこで「比べる」をテーマに、幼児や小学生がいる3人のママが話し合いました。比べるようなことを言ってしまった後のフォローや、子どもとの接し方を考えます。(イラスト:黒松晴美)Vol.9銅木律子さん(40歳、安佐南区)。長男13歳(中1)、次男11歳(小6)、長女10歳(小4)、三男4歳座談会の進行役を務める森崎智美さん(37歳、安佐南区)は、長男8歳(小3)のママ。NPO法人e子育てセンター副代表理事を務めます。「比べる」というテーマは幅広く話題が尽きないと感じています【参加者プロフィル】森崎さんと猫田さんは、安佐南区を拠点に子育てを応援する「NPO法人e子育てセンター」のスタッフ。また銅木さんは、元スタッフで、現在は勤め中。同センターでは、一時保育サポートやオープンスペースの運営、ITを使った情報発信などの活動を行っています。読者アンケートよりよその子と比べて、どんなところが気になりますか■乳児期(0歳~1.5歳)のころ・しゃべり始める時期 ・身長の伸び具合や体重の増え具合・離乳食を始める時期・指吸いをやめる時期、歩き出す時期・髪の毛の濃さ・アトピーや健康状態について・首のすわり、寝返り、ハイハイ、つかまり立ちの時期・おむつがはずれる時期・夜泣きや歯の生え方など■幼児期(1.5歳~6歳)のころ・集団生活ができるかどうか・ちゃんと座ってご飯が食べられるか・生活マナーが身に付いているか・食事が遅い、食が細いこと・引っ込み思案、こだわりの強さ、慎重さなど性格について・落ち着きのなさ、のんびりでマイペースな性格について・よその子と同じ行動ができるかどうか・心身の発達や健康状態について・おねしょをしなくなる時期・絵を描く、はさみを使うなどの器用さ・読み書きの出来具合・みんなと一緒に遊べるかどうか(協調性)■学童期(6歳以上)のころ・勉強についていけているかどうか(学力、テストの成績)・体格や健康状態・仲間づくり、落ち着き具合・学習態度や生活態度・記憶力、お絵かき(表現力)・運動神経、運動能力・礼儀正しく、あいさつがきちんとできるかどうか・食事のスピード・集団生活になじめるかどうか・競争心があまりなく、のんびりしている性格について・言われなくても、自分の身の回りのことができるかどうか編集部このたびの座談会を通して、気付いた点や発見などがあればお話しください。猫田乳児期、比べている自分を責めてみたり、「なんで比べちゃうんだろう」と悩んだこともあったのですが、「そうか、みんな一緒なんだ」と思うとちょっと安心しました。比べてしまっても、それにこだわりすぎなければいいんですね。銅木比べている意識がなくても、子どもからすると比べられていると感じてしまうケースってあるんだと気付きました。親も素直に、「ごめんなさい」っていうのは大切ですね。森崎生活の中で、比べたり競争したりという場面は多数あります。子育ての中で、他人と比べるなと言っても難しいこともあるでしょう。ただ、「比較しても否定しない」「その子の持って生まれたものを伸ばす」という気持ちを持ち続けたいです。わが子の良さを褒めることが大切ですね。座談会を終えて…乳幼児期は、どんなことで比べてしまう?学童期は、どんなことで比べてしまう?このたび実施した座談会は、9月28日にバルコムユーストリームスタジオ(西区大芝)の協力の下、ユーストリームを使って放映しました。ウェブサイト「LICOひろしま」内にある「子育て親育ち」のバナーをクリックすると、過去の座談会もご覧いただけます【アンケート概要】広島リビング新聞社グループウェブサイトで9月21日から10月3日まで「比べることと子育て」について調査。有効回答者126人。詳しくは「LICO気になる数字」でウェブ検索を。「過去のアンケート結果」内にあります乳児期幼児期他の子ども(同じ年ごろの子ども)と比較する81人92人きょうだいと比較する38人37人育児書(マニュアル)と比較する44人20人自分の理想形と比較する14人17人自分が子どものときと比較する11人19人他のママたちの話に出てくる内容と比較する30人30人その他7人5人今でも記憶に残っていて、つらかった。嫌だった29%29%29%24%24%24%47%47%47%あまり覚えていない記憶には残っているものの、あまり気にしなかった次回の「子育て親育ち」座談会は10月下旬~11月上旬の予定 テーマは、現在調整中です。座談会実施の1週間前にウェブサイト「LICOひろしま」の子育て親育ちコーナーに掲示します。乞うご期待ください!LICO 子育て親育ち検索誰(何)と比べますか(主なものを3つまで)あなたが子どものころ、人と比べられてどんな気持ちがしましたか比べてしまった後のフォローや比べなくてもよい接し方とは?・自分の失敗談を例に話をする(57歳女性)・本人に置き換え、やる気が出るように話をする(40歳男性)・「あなたはあなた。上手にできたね」って褒める(38歳女性)・いいところを褒め、自信をつけさせる(38歳女性)・「それぞれ得意・不得意があるから、得意な面を伸ばそうね」 と話す(44歳女性)・「こんなに優れた面があるんだから、欠点も直そう」と話す(50歳女性)・「比べた言い方よくないね。ごめん」と謝る(47歳女性)・「さっきは比べたりしてごめんね。あなたは良いところが あるから、それをみんなにもっと知ってもらえるといい ね」と話す(34歳女性)・「大切なことだから、あなたにできるようになってほしい」 と話す(43歳女性)・叱ったあとは、ぎゅっと抱きしめている(37歳女性)・「それは、お母さんは嫌だからしないでね」と、他人ではな く、自分が嫌だというように話している(39歳女性)・素直に「ママが言いすぎたね」と謝る。「頑張ってほしくて、 ついつい怒ってしまった」と、子どもが大事な事を伝える(29歳女性)

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