子育て親育ち リビングひろしま(電子新聞)広島で約20万部発行の地域生活情報紙
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子育て親育ち〈12〉『vol.11』(「リビングひろしま」2012年1月7日号16面掲載)■ 設問 1 ■ 「性」について、親として悩んでいることがありますか(男の子がいる親の回答から抜粋)●上にお姉ちゃんがいるため、早い時期から生理について知っています。学校で女の子に「今、生理なん? 女って大変だね」などと言って、からかったり、冷やかしたりしているようです。また、生理を知らない同級生の男の子たちに、気持ち悪いことのように教えているようです。男女の体の違いについては教えられても、気持ちや心の違いについては、どう教えたらよいのか分からず悩んでいます(母親/小学高学年)●今後、「性行為」を行うことがあるでしょう。その前に「避妊」について話をしておく必要性を感じていますが、初めて彼女ができた時に話すべきなのかどうか、タイミングが分からず迷っています(母親/中学生)●これだけ携帯やインターネットからの情報があふれていて、真の性教育は難しいのでは…(父親/小学生)●私たちの時代は、性の話はタブーでした。驚くやら戸惑うやらです(母親/小学高学年、高校生)●学校で、どのように性教育が行われているのか知りたいです(母親/小学高学年)●いつの時期に、どこまで話をしたらいいのか分かりません(母親/小学高学年)■ 設問 2 ■ お子さんに「性」について話をされたことがありますか■ 設問 3 ■ 「性」について、どんな話をしましたかリビング読者100人に聞きました思春期の性について【アンケート概要】広島リビング新聞社グループウェブサイトで11月16日から12日間ほど調査。有効回答者100人で男性24人(24%)、女性76人(76%)。詳しくは「LICO気になる数字」でウェブ検索を。「過去のアンケート結果」内にあります上野今日は、「男の子の性」について考えてみましょう。事前アンケートの結果(左囲み内)を見て、同じ男の子を持つ親として、どう思われますか。石本性や体の変化について、息子から相談はないし、話をする機会もないので、実感できません。長岡中学に入って、背がみるみる大きくなり、その成長ぶりはうれしいのですが、心の成長は見えないので、ちょっと不安です。雑誌やインターネット、友人からの興味本位での性の情報に、息子はどう思っているのか心配です。上野男の子からチャイルドラインにかかってくる性の悩みで、一番多いのが包茎について。手術が必要かどうか、どれくらいお金がかかるのかまで聞いてきます。次が、マスターベーションについて。勉強が手につかないぐらいそればかり考えてしまい、「僕は異常なんだろうか」と思い詰めるケースも。数は少ないですが、「好きな彼女ができてセックスしたいと思ってるんだけど、どうしたらいいのか」という相談もあります。城仙先生、この点を医学的にお話いただけますか。城仙包茎もマスターベーションも、男の子にとっては深刻な悩みでしょうが、医学的にはあまり問題ではありません。包茎だと「結婚できない」とか、「早漏になる」というようなマイナスイメージがありますが、手術が必要なケースは極めてまれです。たいていは、16歳ぐらいまでに包皮がむけてきます。一部が癒着して心配なら、泌尿器科へ行かれれば、手術といっても簡単に治ります。よく誤解されるのは割礼です。これは宗教的なもので、医学的には必要ありません。またマスターベーションも、やりたいときにやればいいのであって、回数は問題ありません。男の子はむしろ必須なんです。しない方が逆に問題。親は、そのことをしっかり理解しておきたいですね。上野性について、「自然に覚えるだろう」という意見もありますが、解決できないこともあります。リビング新聞のアンケートでも浮き彫りとなっていますが、「いつ、どのタイミングで、誰が、どう話をするのか」ということについて考えてみましょう。石本過激な情報だけを、興味本位でおもしろおかしく友達から得るというのは問題かな。学校で性教育をする時が、家庭で話をするチャンスかも。授業参観で性教育を取り上げてもらえると、先生のように、こういう話し方をすればいいんだとか、ここまで子どもたちは知っているんだと、親が学べると思います。長岡やはり正しい知識を大人がちゃんと伝えなくてはいけないと思います。ニュースで、性に関する事件があったときや、ドラマで妊娠してしまったという場面があったときなどを利用して、「お母さんはこう思っているのよ」という親の意見をきちっと述べ、押しつけるのではなく、対話することが大事かなと思います。上野親の意見もしっかり伝えなくちゃいけないけど、子どもの気持ちも受けとめること。一方的になると、子どもを遠ざけることになります。城仙そうですね。あくまでも、子どもから投げられたボールを親が受けとめるということが必要で、それをきっかけに、家族で話し合うことです。タイミングを探したり、わざわざとってつけたような性教育は、必要ないと思います。上野親が説明できない場合や、親や友達、身近な人にも話せないというときは、チャイルドラインを利用する方法もあります。こういう相談窓口を知っているのと知らないのとでは全然違うと思います。それと、最近はシングル家庭が増えていますから、異性の悩みや相談に対応できない保護者もいらっしゃるでしょう。その場合、チャイルドラインを上手に使ってください。ただし子どもが電話をすることが条件ですから、子どもたちにチャイルドラインの存在を伝えておいてください(左上のカード参照)。上野親にとって、とてもショッキングなデータがあります。東京都幼稚園・小中高・心障性教育研究会の発表では、18歳までの性交渉経験者率(2005年)が、男子が35・7%、女子が44・3%となっています。「これは東京だから特別」ということではなく、おそらく広島でもこれに近い状況だと推測できます。それと、10代の子どもの妊娠中絶率が、2007年に厚生労働省から発表されています。1000人に対して7・8人の割合です。「わが子だけは特別」ではなく、「わが子ももしかしたら…」と考えるべきでしょう。成長発達段階の子どもであるがゆえに、正しい知識をしっかり伝える必要があります。石本正直な気持ち、ただただびっくりという感じです。上野親としてこの数字を無視できますか。こういう環境の中にわが子もいるということです。性の衝動が抑えられればいいのですが、それには限界がありますよね。城仙数字だけがクローズアップされますが、鎌倉時代や室町時代のころ、18歳までの性交渉経験者率は100%といわれています。ですから、性衝動は自然なものなんです。性衝動を否定するのではなく、何が大切なのかを子どもに伝えておくことです。上野お互いの合意の下で性交渉が行われるとしたら、お互いを〝思いやる〞ということから、避妊の知識を持っておくことは必須。お互いの体を気遣うという意味でも、コンドームを着用することを息子に伝えるべきではないでしょうか。城仙咳(せき)マナーというのをご存知ですか。咳をするとき、必ず手を当てますが、セックスにはコンドームというのが、一つのマナーだと思います。自分のためでもあり、一番は相手のため。倫理的なものを含め、性教育を考え直す時期なのかもしれません。石本中学生になったら、知識として知っておくべきことなんですね。長岡親として話しておくべきですね。上野男女一緒に、性の話をする機会があっても私はいいと思います。石本男女が一緒だったら、相手を思いやるという気持ちも理解しやすくなるでしょうね。上野性衝動に駆られたとき、そういう知識があると自己抑制が働きます。成長とは葛藤の連続なのかもしれませんね。石本智香子さん(46歳、府中町在住)、長男14歳・中3、次男12歳・中1。若竹保育園子育て支援センタースタッフ、府中町学校支援コーディネーター長岡聖奈子さん(46歳、府中町在住)、長女18歳・高3、次女15歳・中3、長男13歳・中1。「アンパンマンキッズクラブ」代表で子育てアドバイザー思春期の子どもにとって、体のことや異性のことは、とても気になるもの。命につながる大切なことですが、親としてどう話をしたらいいのか分からない…ということってありますよね。さらに、子どもたちを取り巻く状況は、親が子どものころとは大きく変わっています。そこで、親として知っておくべきこと、子どもへの話し方などを考えます。(イラスト:黒松晴美) 子どもたちに配られる「チャイルドラインカード」。「ひろしまチャイルドライン」では、18歳までの子どもが掛ける専用電話で、友達関係、いじめ、虐待、性の悩みなど、子どもたちのいろいろな声に寄り添い、ありのままに受け止め、心を解放し、自立を支えることを目的に活動しています。昨年は約70人のスタッフで、8,118件の電話相談を受けました▲長岡母親と息子とは体の構造が違うので、こういうふうに医学的に教えていただくと、子どもに対して、ちゃんと伝えられますね。石本でも、息子が母親に相談はしづらいでしょうし、私もきちんと伝えられる自信がないので、息子の相談は父親に任せたいたいです。▲座談会の進行役を務める上野和子さん(60歳)。3人の子どもはすでに成人。子ども専用電話「ひろしまチャイルドライン」を運営するNPO法人ひろしまチャイルドライン子どもステーションの理事長▲泌尿器科の専門医としてアドバイスをいただいた城仙泰一郎先生(76歳)。広島パークヒル病院でホスピス長として、またNPO法人ひろしまチャイルドライン子どもステーションの理事としても活躍中〝相手を思いやること〞それを教えるのが性教育親子で話し合える環境づくりが大切 思春期の性 【男の子編】どう話したらいいの?知らないのは親だけ?「子育て親育ち座談会」 昨年12月7日に実施した座談会は、バルコムユーストリームスタジオ(西区大芝)の協力の下、ユーストリームを使って放映しましたLICO 子育て親育ち検索父親 息子父親 娘母親 息子母親 娘17%17%17%11%11%19%19%19%28%28%83%83%89%89%81%81%81%72%72%72%あるない総回答数 921位2位3位4位5位6位6位男女の体の違い(性器)        /17人生理(月経、生理痛、生理不順)/15人生命の尊さ(生命の誕生)/14人男女交際(好きな人との付き合い方)/12人性交渉/8人乳房の大きさや形/5人妊娠(妊娠不安)/5人8位8位8位8位12位13位13位性的被害/3人性病/3人避妊(緊急避妊、中絶)/3人マスターベーション、夢精/3人性欲(性的衝動)/2人包茎/1人その他/1人次回の「子育て親育ち」座談会と紙面掲載のお知らせ次回のテーマは、「思春期の性女子編」です。座談会はすでに収録され、ユーチューブでご覧いただけます。その模様は、ウェブサイト「LICOひろしま」の子育て親育ちコーナーからアクセスできます。なお、本紙「リビングひろしま」での掲載は、1月下旬ごろを予定しています。今後の「子育て親育ち」座談会の予定ですが、1月下旬〜2月上旬にユーストリームで放映。テーマや実施日は、ウェブサイト「LICOひろしま」でお知らせします。ユーストリームで放映の様子Vol.11

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