子育て親育ち リビングひろしま(電子新聞)広島で約20万部発行の地域生活情報紙
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〈9〉子育て親育ち『vol.8』(「リビングひろしま」2011年9月24日号13面掲載)猫田どんなお手伝いをさせていますか。銅木ゴミ出しと洗濯物を取り込むこと。それと、幼稚園の時から上履きは、自分で洗わせていました。大してきれいにならないけど(笑)。森崎決まったお手伝いはなく、「一緒にやって」と言ってます。「自分のことは自分で」と基本的なことは意識してやらせていましたが、一人っ子なので、つい親が手を出してしまいます。猫田うちの6歳の子がやりたがるのは、台所の手伝い。切るとか煮るとか、難易度が高いものばかり。小さい子がやりやすいように準備したり、説明しなければいけないので、つい面倒くさくなって、「今日はだめ」と言ってしまうんです。銅木忙しい時間帯に限って「お手伝いする」って言ってくるよね。4歳の子が、「ボクが野菜を切ってあげる」なんて言われた日には、「やめて」と(笑)。森崎うちも幼稚園のころ料理に凝って、「毎晩作る」って言い出した時にはクラクラしました。好き嫌いがあるし、栄養のバランスも考えないから、具がない焼きそばになっちゃって。でも、一週間もやれば気が済むんですよね。猫田一週間つき合う方がすごいですよ(笑)。銅木言ってきかない時は、ダイニングテーブルにご飯を置いて「おむすびを作るなら作って」と。お手伝いじゃなくて、もう遊びだね。猫田断るときの言い方はどうですか。森崎「今日は大丈夫よ」と柔らかく。猫田そうか、「やめて!」とは言わないんだ。銅木それでも駄々をこね始めたら、「これだけお願いね」って、全体の4分の1ぐらいを渡して、気が済むようにさせていましたね。猫田一つやらせると「次は?」って言われるのがすごくたいへん。それと、仕上がりが自分の思い描いた形にならないと気が済まない時も…。森崎昔、子どもとギヨーザを作ったことがありました。出来栄えが粘土みたいになっちゃって。そういう日は見た目は気にしないこと。銅木断り方は、時間や気持ちの余裕次第?でも、「やめて」「あっちに行ってて」なんて、キツイ言い方が多いかな。猫田私も怒る前にダメな理由を説明しようと思うけど、つい反射的に怒っちゃいますね。編集部子どもはその「やめて!」という言葉をどのように受け止めているでしょうか。森崎もちろんショックだとは思うけれど…。でも、人間にはそういう気持ちの波があって、「今お母さんはいっぱいいっぱいなんだな」と、子どもも学んでいくことがあってもいいんじゃない。銅木「何もしないでいてくれることがお手伝いよ」って嫌みを言ってしまった時、お姉ちゃんが「お母さんは今忙しいから、お姉ちゃんと遊んでよう」って、フォローしてくれます。猫田3歳は泣いて終わり。6歳はふてくされて別の部屋へ。表現が違うだけで、傷付いているでしょうね。本人のやる気を尊重したいし、お手伝いもさせた方がいいとは分かっているけど、なかなか最後まで付き合いきれないんです。銅木「今日はここまでやってね。ここから先はお母さんがやるね」と最初にゴールを示しておくと、達成感もあるし。森崎「ここからここまでがあなたの仕事」って言っておくことね。それと、お手伝いを紙に書き出しておくのもいいんじゃない。一つ一つつぶしていくと、達成感がありますよね。猫田幼児の場合、親が準備をしてやらないといけないのよね。森崎ハードルを上げ過ぎないことよ。銅木野菜の切り方も高度なテクニックは求めないこと。幼児にとっては遊びとお手伝いは一緒のところがあるのかも。 森崎 お手伝いには、生活の基本的なことを繰り返してやるものと、イベントのように一過性のものがありますね。猫田小さい時はいろんなことをさせてみる。うまくいかなくても良しとするということ?森崎それと「やらせよう」という気持ちを親がいかに持ち続けるか。猫田「やりたい」って言われてもつき合えない時もあるでしょ?森崎いいんじゃない。だって生活をしていかなきゃいけないから。銅木例えば、平日の朝にご飯を作りたいと言ったら、「今日は無理だから、あと2つ寝たらお休み。その時にやろうね」と、イベントにしてしまえばいいんじゃない。森崎単に「ダメ」じゃ、何がダメなのか分からないでしょう。3〜4歳になったら、説明すればある程度のことは分かるから、そこはちょっと時間をとって説明してあげると、子どもも納得できるかもね。猫田そうか。手間のかけどころが違うんですね。「ここからここまでね」とか、「今日はだめだけど日曜日にやろうね」とか、最初にきちんと説明することが大事なんですね。編集部幼児期のお手伝いは、イベント的な要素もありました。小学生ともなると、日常的にさせる意義がありそうです。後半は、小学生とお手伝いについて話を進めていきましょう。森崎小学生になると親の要求度や期待度がエスカレートしていくんじゃないですか。銅木確かに、求めるものが高くなりますね。猫田中学生になるともっとでしょう?銅木もっとですね。体つきが親と同じか、それ以上になると、「やってくれて当たり前でしょう」と思ってしまいます。森崎そういうことを子どもも感じ、反抗期と重なって、言うことを聞かなくなるのよね。銅木そうよ。「手伝って」と言うと、不機嫌そうな返事ですもの。猫田お手伝いといっても、家電製品で家事が賄えるから必要ない?森崎昔は、母親が朝から晩までずっと家事をしていたと思うんです。今はそういう姿を見ることもないから、お手伝いを意識させるのは難しいでしょうね。銅木夏休みの宿題に「家族の一員として、お手伝いをしましょう」というのが出るんです。達成感が得られ、継続して任せられるものを見つけるのは、結構大変です。猫田今年は何を?銅木6年の次男はトイレ掃除をやると自分で言ったので任せたのですが、私の求めるものが10だとすると、彼がやってくれたのは4〜5ぐらいかな。4年の娘は朝食後の片付け。でも、彼女はササッと食べて、片付けちゃう。「間に合わなかったら自分で洗ってね」って(笑)。森崎うちでは、難しいことを始めると、後々やっかいなことになるので、食卓に箸を並べることにしていました。編集部子どもにお手伝いをさせようと思えばいろいろとご苦労があるようです。それでも、お手伝いが大切なわけを考えてみましょう。そこで辰巳渚さんの『子どもを伸ばすお手伝い』という本の中に、「9つのお手伝い効果」が書かれています。読んでみてください(上の囲み)。銅木上の3人の子どもたちがゴミ出しをしています。家族の一員としての自覚と責任感が培われていると思います。森崎気がつく子になる、サッと動ける子になる、生活技術の基本が頭でなく体で覚えられる、この3つは、生きていく上での基本が凝縮されているように思います。猫田こうした9つの能力がお手伝いを通して身に付くまで、どうしたらいいでしょうか。森崎繰り返しだと思います。うちの子は今8歳ですが、とにかく毎日同じ事の繰り返しなんです。特に、出したものは片付けるという、そんな当たり前のことを繰り返しています。猫田そうすると、小・中学生ぐらいになると、嫌だと言われても、繰り返し根気強くお手伝いをさせる言葉掛けが、必要なんですね。銅木「母さんはすぐ〝将来のため〞とか言って手伝わせようとする」と文句を言いますが、結局はそこ。将来は、自分の力で生きていく人間になってもらいたいから…。森崎「やって」と言うと反発するので、「一緒にやって」とお願いします。できたら「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えます。猫田家事には正しいやり方があって、それが負担に感じるママもいらっしゃるようですが…。銅木正しい家事というのがあるのかな?(笑)。それぞれの家で、洗濯物の干し方や畳み方など、いろいろだと思うんです。「こうじゃなきゃ」と思わないことです。森崎そうね。知恵袋のように理にかなっていることはあっても、家事のやり方に正解はないような気がします。「子育て親育ち」座談会 【幼児~小学生編】〝お手伝い〟させたいけどかえって手間がかかる?森崎智美さん(37歳、安佐南区)。長男8歳(小3)忙しい時に限って「僕がやる!」と駄々をこねたり、やってほしいのに不機嫌そうな態度を取ったりと、ママのイライラが募る子どものお手伝い。そこで、お手伝いの大切さや子どもへの関わり方などについて、幼児や小学生がいる3人のママが話し合いました。その模様を紹介します。(イラスト:黒松晴美)Vol.8銅木律子さん(40歳、安佐南区)。長男13歳(中1)、次男11歳(小6)、長女10歳(小4)、三男4歳座談会の進行役を務める猫田久美子さん(34歳、安佐南区)は、長男6歳、次男3歳のママ。「今日は、先輩ママの銅木さんと森崎さんに、ぜひお聞きしたいことがあります」と、悩みを打ち明けます次回は、9月28日(水)14:30~15:30実施ついつい比べてしまう…LICO 子育て親育ち検索 次回の座談会は、9月28日(水)14:30から1時間の予定で行います。テーマは「子どもを比べてしまうことの弊害」(幼児~小学生編)です。「生まれてきてくれてありがとう」と思っていたはずが、いつしか兄弟や同級生と比べてしまうことも。他人と比べて一喜一憂するよりも、わが子の良さに目を向けることが大切です。しかし、それがなかなかできないから悩んでしまいます。 座談会の参加者は、子育てママをサポートする〝NPO法人 e子育てセンター〟(安佐南区)のスタッフたち。その模様は、同時にユーストリームでご覧いただけます。皆さんも一緒に考えていただけるようにワークシートを用意。座談会の約1週間前にウェブサイト「LICOひろしま」の子育て親育ちコーナーに掲示します。 このたび実施した座談会は、8このたび実施した座談会は、月31日にバルコムユーストリーム月31日にバルコムユーストリームスタジオ(西区大芝)の協力の下、スタジオ(西区大芝)の協力の下ユーストリームを使って放映しまユーストリームを使って放映しました。ウェブサイト「LICO ひろしした。ウェブサイト「LICO ひろしまま」内にある「子育て親育ち」ナのバナーをクリックすると、過去の座談ーをクリックすると、過去の座談会会もご覧いただけます。【参加者プロフィル】 猫田さんと森崎さんは、安佐南区を拠点に子育てを応援する「NPO法人e子育てセンター」のスタッフ。また、銅木さんは、同スタッフを経て、現在は就業中。「NPO法人e子育てセンター」では、一時保育サポートやオープンスペースの運営、ITを使った情報発信などの活動を行っています。9つのお手伝い効果お手伝いをするようになると、こんなふうに子どもは変わる。『子どもを伸ばすお手伝い』(辰巳渚著)より抜粋(1)気がつく子になるそうじをとおして、よごさないようにすればいいことに気がつき、人の気持ちにたって、思いやれるようになる。(2)サッと動ける子になるよごれているな、と気がついたときにサッと動ける子になる。(3)生活技術の基本が頭でなく、身体で覚えられるくり返すことによって、無意識に身体が動くようになる。(4)生きることに前向きな子になる食べる喜び、きれいにすることの気持ちよさなどをとおして、充実感を感じ、生きることに積極的になる。(5)ものを大切にする子になる手入れをする、交換をするなど、手を動かしていると「使い捨て」ではわからない、暮らしの豊かさを感じられるようになる。(6)人ときちんと向かい合える子になるお茶を運んだり、回覧板をまわすなどのお手伝いをとおして、家族以外の人間関係の作り方を学ぶことができる。(7)コミュニケーションができる子になるお手伝いをとおして、親子の会話はもちろん、近所の人とのおつきあいもでてきて、コミュニケーション能力が身につく。(8)大人へと成長させるたとえば留守番は家のことに気を配って、きちんとしなきゃという緊張感を強いられる。これが子どもを大きく成長させる。(9)家族の一員としての自覚が育つ自分の役目をもらい、きちんとこなすことで使命感も芽生え、家族の一員たる自覚もできる。書名:『子どもを伸ばすお手伝い』 著者:辰巳 渚発行所:岩崎書店 2006年11月10日第5刷発行(1,300円)編集部このたびの座談会を通して、気づいた点や発見などがあればお話しください。猫田やっぱり小さいころから「自分のことは自分で」と習慣づけていくことが大事だと思いました。うちはまだ小さいので、親がつい手を出してしまうことが多いんですが、時間がなくてダメな時は、子どものやる気を損なわないようきちんと説明したり、あらかじめゴールを示せばいいんだと分かりました。銅木「9つのお手伝い効果」を読んで、お手伝いを通して、自分のことは自分でやれるようになることはもちろん、さらに回りの人のことまで気が付くようになることが分かりました。お手伝いとは、奥が深いですね。森崎それぞれの家庭のやり方を伝えるのが〝お手伝い〞とすると、母親としては、すごくプレッシャーを感じていました。しかし、そんなことを気にするより、どんどんお手伝いをさせることが大切。理にかなったやり方は、親子で勉強していくぐらいの心持ちでいいんですね。座談会を終えて…【幼児】「僕がやる!」そのときあなたは?【小学生】「え〜僕がやるの」そのときあなたは?8月31日に行った座談会の様子【プラス情報】〝お手伝い〟について、弊社のウェブサイトでアンケート結果を掲載。「LICO 気になる数字」でウェブ検索を。「過去のアンケート結果」にあります

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